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【2023年振り返り①】小森めと移籍&周防パトラ独立 VTuberのキャリアチェンジをVオタが考察

もりのなか

小森めとさんの移籍と周防パトラさんの独立は、どうしてVTuber業界にとって画期的なできごとだったの?

この記事は、管理人が印象に残った2023年のVTuber業界でのできごとをふりかえるシリーズです。

第1回目は、小森めとさんの移籍と周防パトラさん独立から見る、VTuberのキャリアチェンジがテーマです。

この記事でわかること

  • 小森めとのぶいすぽっ!移籍の経緯
  • 周防パトラ独立の経緯
  • 2人の共通点から見るVTuberのキャリアチェンジを考察

この記事の信頼性

  • 参考動画・参考書籍あり
この記事を書いている人:もりのなか

小森めとのぶいすぽっ!移籍の経緯

日頃より、774inc.をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。

小森めとは2023年1月31日をもちまして774inc.のメンバーとしての活動を卒業し、

2023年2月1日よりぶいすぽっ!に移籍させていただくことをお知らせいたします。

本人から移籍の可能性について相談があり、ぶいすぽっ!運営様と相談をした上で本人がオーディションを受け、合格となりました。その後、両運営で話し合いを重ねた結果、移籍する事となりました。

タレント本人がよりやりたい事ができるように考えた結果の判断となりました。

引用元:【弊社所属タレント「小森めと」についてのお知らせ】

2023年1月26日。小森めとさんが、当時の所属事務所 ななしいんく(旧774inc.)からぶいすぽっ!へ移籍する衝撃のニュースが発表されました。

この移籍は、彼女のキャリアにとって良い選択となりました。

小森めとさんが移籍を決意した主な理由は、「今の自分のやっていることとこれからやりたいことが、ぶいすぽっ!の方が合っていた」ため。

【雑談】色々楽しかったねの会とお知らせもあり【小森めと / 774inc. 】

当時、小森めとさんは、アイドル系の活動が多いななしいんくの中で、唯一eスポーツに力を入れた活動をしていました。

数々のeスポーツイベントへ積極的に参加し、実績も充分。

自分の進みたい方向と、eスポーツに特化したぶいすぽっ!の方針は相性が良かったのでしょう。

この移籍は、VTuber業界でも珍しいケースでした。

なぜなら、ななしいんくとぶいすぽっ!はどちらも業界で有名な事務所。

企業所属のVTuberが別の企業へそのままの姿で移籍をするいわゆる完全移籍は、中小の事務所ならままあること。しかし、大きな事務所間の完全移籍はほとんど例がありませんでした。

さらに、小森めとさんが移籍した時期は、ななしいんく内で大きな変化がありました。

所属グループのブイアパ解散。移籍後にはなるものの、事務所の名称変更やグループの全統合。

短期間での急激な状況変化も、彼女の移籍に影響を与えたのではないでしょうか。

このように、小森めとさんの移籍は、彼女のキャリアにおいて新しい道を開くいいタイミングだったと考えられます。

このニュースには多くの人を驚かせましたが、そのほとんどが彼女を応援するものでした。移籍前からぶいすぽっ!のメンバーと絡む機会も多かったので、違和感なく移籍できたのも大きかったと思います。

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周防パトラ独立の経緯

日頃よりななしいんくを応援いただき、誠にありがとうございます。

弊社所属タレント、周防パトラにつきまして

2023年5月9日をもってななしいんくを卒業し、独立することをお知らせいたします。

今後の活動について、本人と協議を重ねた結果

周防パトラの意向を尊重し、独立の申し出を受け入れるかたちとなりました。

引用元:「周防パトラ」独立に関するお知らせ

2023年5月9日。周防パトラさんが、当時の所属事務所 ななしいんくを卒業し、個人勢として独立することを発表しました。

周防パトラさんが独立を決意した理由を要約すると、次の通り。

「グループ(ハニーストラップ)がなくなったことが本当にショックだった。そのときに、ソロになることは何だろうと考えた結果、運営の力に頼らず自分でいろいろやってみよう。ステップアップしてみようと思って個人勢になることにした」とのこと。

周防パトラから大切なお知らせ

周防パトラさんは、ななしいんく所属以来、ハニーストラップの一員として精力的に活動してきました。

ハニーストラップはななしいんくの中でも特にユニット色が強く、頻繁にコラボもしていたことから思い入れもかなり強かったのでしょう。

さらに、4月29日に開催予定の自身のソロライブ前に、ななしいんく公式が「運営側の不備による事前の準備即により本来目指していたクオリティには届かない状態での開催となる見込み」という異例の声明を発表。

当時の周防パトラさんは大変ショックを受けたようで、数日間音沙汰がありませんでした。

このことも、卒業の決め手になったのではないかという見方も多いです。

最終的にななしいんくとの協議の結果、「周防パトラ」としてのすべての権利を買い取ることに。

引退でも転生でもなく、個人勢として独立する道を選びました。

企業勢が個人勢として独立するのは、中小の事務所ではさほど珍しくはありません。

しかし、有名VTuber事務所からそのままの名前と姿で独立したケースはとても少ないです。

ななしいんく側も事情があったとはいえ、周防パトラさんの独立はとても勇気のある決断であっと思います。

彼女の新たなチャレンジに、同業のVTuberやリスナーからも多くの支持が寄せられました。

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2人の共通点から見るVTuberのキャリアチェンジ

VTuber業界には、「VTuberはキャリアにならない」という意見が存在します。

こうした意見の中心には、VTuberとしての活動が長期的な職業として成立するかどうかという問題があります。特に、専業の企業勢にとっては人ごとではありません。

もりのなか

VTuberをやっていた期間は履歴書に書けない。なんてよく言われますね。

今回の小森めとさんと周防パトラさんの事例は、この意見に対する新たな可能性を示しています。

小森めとさんと周防パトラさんには、なにかと共通点があります。

かつて同じ事務所に所属していたこと。ななしいんくでトップクラスのYouTube登録者を抱えていたこと。

特に注目すべき共通点は、彼女たちがアバターや名前を変更せずに移籍・独立を果たしたことです。

この件は業界で大変注目を集め、VTuberが単なる趣味や娯楽を超えた本格的な人生のキャリアとして成立する可能性も見いだせるようになってきました。

VTuber事務所と所属VTuberとの間には、著作権、商標権、所属契約、秘密保持など、多くの法律や規約が複雑に絡み合っています。

これらの分厚い壁を乗り越え、彼女たちが新しいフィールドで活躍していることは、ほかの企業勢にとっても重要な前例となるでしょう。

個人勢として活動し、Neo-Porteのオーナーとしての顔も持つ渋谷ハルさん。自身の配信にて、運営側の視点とVTuberの視点の両方からこの件を分析していました。

久々の雑談配信+マシュマロ食べる【渋谷ハル】

企業VTuberのビジネスモデルは、初期投資と企業の信頼を提供する代わりに、活動から得られる収益の一部を取る形式が一般的です。

このことが所属VTuberの移籍や独立を難しくしていることも事実。

これまでの投資回収だけでは、VTuberのビジネスモデルとしては成り立たなかったはず。

お互いに良い落とし所を見つけて、うまく対処したのだろう。

Vが好きな者の1人として今回の件は良いニュースだったと、終始感心していたのが印象的でした。

このVTuberビジネスモデルの複雑さを裏付けるのが、弁護士VTuberとしても活躍するながのりょう先生の寄稿した記事です。

一部を引用させていただきます。

VTuberの所属契約は、モデルやタレントの等のいわゆる芸能人の専属所属契約と共通する部分が多くあります。ただし、VTuberの場合、LIVE 2Dや3Dのキャラクターが使用されることとの関係で、特に著作権に関する注意が必要です。

引用元:ながのりょう(2022.9).VTuberと法律,会社法務A2Z.(184):2022.9.30.

この記事を読むと、VTuberとVTuber事務所は、さまざまな法律や規約でしばられた関係であることがわかります。

著作権をはじめ、商標権、所属契約、秘密保持、契約解除時のアカウントの処理……。

企業勢がキャリアチェンジを検討するときには、これらの法律的な側面について理解することが不可欠とも言えます。

しかし、正直に言いましょう。外野の私から見てもめんどうで難しいです!

これら1つ1つをクリアして、各種権利をほかの事務所であったり個人だったりへ移行するのは簡単ではないのだなあと痛感しました。

結果的に、小森めとさんと周防パトラさんの事例は、企業勢のキャリアチェンジが可能であることを示す重要な転換点になったと思います。

新しいフィールドでのびのびと活躍している、小森めとさんと周防パトラさん。

寛大な姿勢を世間に示すことができたななしいんく。

両者にとってWin-Winであったことは間違いありません。

もちろん、誰もが彼女たちのようにうまくいくわけではありません。イメージを一新して、新しいVTuberとして転生する方がメリットのある人もたくさんいるでしょう。

結局のところ、VTuberはキャリアにならない論をひっくり返すためには、長く活動するVTuberが増えていくことしかないんですよね。

VTuber業界が大きくなってきた今だからこそ、企業側も独立や移籍の選択肢を本気で考える時期が来ているのではないでしょうか。

今回の件が、将来的にもVTuberの自由なキャリアチェンジを促す良い前例になればいいなと思います。

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参考:
1. 【弊社所属タレント「小森めと」についてのお知らせ】
2. 【雑談】色々楽しかったねの会とお知らせもあり【小森めと / 774inc. 】 - YouTube
3. 「周防パトラ」独立に関するお知らせ
4. 周防パトラから大切なお知らせ - YouTube
5. 久々の雑談配信+マシュマロ食べる【渋谷ハル】 - YouTube
6. ながのりょう(2022.9).VTuberと法律,会社法務A2Z.(184):2022.9.30.

-その他, ぶいすぽっ!, コラム, 企業勢, 個人勢
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