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VTuberって本当に海外でも人気なの？
この記事では、国境を越えて広がるVTuber人気の実情に迫ります。
海外ニキたちの間でVTuberはどのように受け入れられ、どのような影響を与えているのでしょうか。
英語圏の事情に詳しい方に協力してもらった調査結果を発表します！
Contents
調査の目的
この調査は、海外におけるVTuberの人気を探ることを目的としています。
若い世代を中心に人気を集めるVTuberが海外でどのように広まったのか。
さらに、異なる文化的背景を持つ視聴者によってVTuberがどのように受け入れられ、どのような影響を与えているかについても分析します。
VTuberが海外で広まった理由と、異なる文化の中でどのように受け入れられているかを理解することは、今後のVTuber業界の未来を予測する上で大切です。
本記事の内容は、英語圏の事情に詳しい翻訳家のあっぷるさんにご協力いただきました。
なお、調べていただいた当初から状況が変わっている可能性もあります。あくまで、2023年前半時点での情報であることをご了承ください。
海外でVTuberが知られたきっかけ
VTuberは、日本発の新しい文化として海外で認知されています。
特に、英語話者のVtuberが登場したことにより、国際的な存在感を高めました。
「Vtuber」の発祥は、2016年12月から活動を始めたキズナアイさんの登場であること。
また、多くのVtuberが日本のアニメキャラのアバターを使用していることから、海外でもVtuberは「日本発の文化」であることが認知されています。
しかし、多くのVtuberが日本語しか話さないことから、海外のファンが少ない状況が長らく続いていました。
このことを危惧して、英語圏に向けてアピールしていたホロライブの桐生ココさんの存在も大きいですね。
そこに、2020年頃。新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックの最中。
ホロライブが、英語を話すVtuber（がうる・ぐらさん、森カリオペさん、一伊那尓栖さん、小鳥遊キアラさん、ワトソン・アメリアさん）をデビューさせます。
日本もそうでしたが、多くの国でパンデミックによる外出制限や自宅待機の措置が行われました。その結果、人々は自宅で楽しめるエンタメを求めるように。VTuberはまさにその条件に合っていたとのこと。
また、彼女たちの登場以前は多くのVTuberが日本語のみを使用していました。
パンデミック中に英語を話すVTuberが増加し、より幅広い国で非日本語話者でもVTuberのコンテンツを楽しめるようになりました。
これらのタイミングと需要もあって、VTuberは新しいエンタメとして注目を集めたと考えられています。
VTuberの海外での認知度
英語圏にVTuber文化を広げた立役者として、がうる・ぐらさん、森カリオペさん、一伊那尓栖さん、小鳥遊キアラさん、ワトソン・アメリアさんの名前が挙げられます。
彼女たちの名前は、英語圏の「VTuberランキング」や「注目のVTuber」などのまとめ記事にも頻繁に登場します。特に、アニメファンの間ではよく知られた存在です。
しかし、アニメファンでない層へヒアリングでは、彼女たちのことを知らない。そもそもVTuberのことを知らないという結果も出ています。
これは、海外ではまだVTuberコンテンツが一般層までは十分に浸透していないことを意味しています。
VTuberはアニメキャラのイメージが強く、「アニメファンが好むもの」というネガティブな偏見も浸透の障害となっている可能性があります。
一方で、アメリカ ニューヨークのBronx Science高校の生徒たちからは、VTuber文化に対する異なる視点が見受けられます。
When asked why they watch VTubers, Bronx Science students responded with the same sentiment, that they watch VTubers for the same reasons that they watch any other content creator. “I watch them for fun, and they’re the same as other streamers, in my opinion”, said Fiona Zhou ’23. “Why not?” said Alex Neampong ’22. “While the models are usually the appeal, the people who play them are entertaining, and there tends to be an aura of mystery around them, because of their in-universe character creating a humorous conflict with the stories they share,” Neampong said.
This new style of content creation is not lost on viewers, as the models offer a unique experience. “I appreciate the entire concept of how they are able to create an avatar in order to express themselves freely and to be free of the judgment that some influencers experience based on their real looks. Where they could have been held back by insecurities about their appearances, they are able to let their personalities and voices shine through attractive characters that can even move realistically with exciting new face- and body-tracking technology,” said Elizabeth Colon ’23.
引用：The Rise of VTubers: An Overview of the Surging Popularity of “Virtual YouTubers” – The Science Survey
要約すると、「Vtuberの配信を見るのは、他の配信者の配信を見るのと同じ」「キャラだけでなく、後ろにいる人間も魅力」「外見の偏見から解放され、自由に自分を表現するためにアバターを作るというコンセプトが素晴らしい」という感想を述べています。
これは、日本と比較して、海外におけるVTuberコンテンツが「中の人」の存在をより重視していることを示しています。
近年は日本でも増えていますが、海外では声をそのままに生身の人間のアバターとしてVTuberを使う方法が普及しているようです。
VTuberが国や地域によってどう思われているかに違いが見えて、とてもおもしろいですね。
VTuberの視聴者層とVTuberの国籍
では、VTuberの視聴者層とVTuberの国籍にはどのような関係があるのでしょうか。
大手ストリーミング分析プラットフォーム「STREAMS CHARTS」の調査結果を引用します。
VTuberの視聴者の言語は主に日本語58.5%、英語9.3%の割合でした（※2023年4月時点）。
日本語の視聴者が圧倒的多数を占めているということ。これは、VTuberコンテンツの多くが日本語で制作されており、日本のファンが基盤となっていることを意味しています。
一方で、英語圏の視聴者は全体から見るとまだ少数派。VTuberの英語圏での認知度や人気はまだ発展途上であることを意味しています。
これは、英語を話すVTuberが台頭し始めたのが、2020年頃と比較的最近であることが影響しているかもしれません。
VTuberの国籍を見ると、こちらも日本が圧倒的で全体の72.9%を占めます。大きく離すものの、2位は米国（16.7％）、３位はタイ（6.1％）がランクイン。
全体の割合こそ大きくないものの、これらの国でもVTuber文化が広がりつつあることを意味しています。
しかし、英語を話すVTuberの存在や外国の視聴者の存在は、VTuber文化が今後さらに国際的に拡大する可能性があることを充分示していると言えるのではないでしょうか。
なお、気になった方も多いでしょうが、このグラフには中国が見当たりません。中国といえば、bilibiliを始めとした独自のプラットフォームが有名です。
bilibiliでも、VTuberは人気コンテンツの1つです。bilibiliで配信したVTuberへの高額投げ銭は、日本でも度々話題になることがあります。
こうしたニュースを見ると、中国でのVTuber人気の高さがうかがえます。
もし集計対象に含まれていれば、実際の視聴者層及びVTuberの国籍は中国も上位にランクインする可能性が高いですね。
VTuber市場の急成長とその背景
VTuber業界は、それぞれのVTuberの活動の拡大と共に急速に成長しています。この成長の一翼を担っているのが、海外のVTuberの存在です。
特にアメリカやヨーロッパといった新興市場への影響は大きく、海外のVTuberの活躍が市場規模の拡大に大きく貢献しています。
Ironmouseなど海外VTuberの活躍が市場規模を拡大
特筆すべき例が、プエルトリコ系アメリカ人VTuberのIronmouseさんです。
彼女は2022年2月に、Twitchで『Subathon』（サバトン）と呼ばれるイベントを主催しました。
このイベントは、配信中に視聴者がチャンネルをサブスクライブする度に配信時間が延長されるというもの。Twitchでは多くのストリーマーがチャレンジしており、とても人気のあるイベントです。
Ironmouseさんは、2022年の最初のSubathonで171,818人のサブスクライバーを獲得。彼女はTwitchで最もサブスク数が多い女性配信者となり、大きな話題を集めました。
そして2回目となる2023年6月のSubathonで彼女は記録を更新。172,093人のサブスクライバーを獲得します。
これらの数字を元に計算すると、彼女のSubathonは数百万ドルの収入を生み出したと推定されます。
彼女が所属するVTuber事務所のVshojoも、この成功を背景に2022年3月に1,100万ドルのシードラウンドを調達しました。
市場規模は将来的に100億米ドルを超える！？
2021年時点でのデータになりますが、国別のVTuber市場データを算出しているMarket Research.comのデータを引用します。
これによると、世界のVTuber市場の規模は16億3900万米ドル。
このうち、中国の市場規模は2021年に7億3,259万米ドル、北米の市場規模は2億33万米ドル、ヨーロッパは1億8,272万米ドル。別の情報にはなりますが、日本の21年時は米ドルに換算すると約4億7,000万ドル。
これは、日本中心だった市場が、中国そしてアメリカやヨーロッパなどの新興市場へと拡大していることを示しています。
そして、2028年にはなんと世界での市場規模が174億米ドルに達すると予想していますね。
Market Research.comだけでなく、BUSINESS Research InsightsやStatistaを始めとした多くの経済系メディアや専門家が、2023〜2028年の間にアメリカやヨーロッパで大きな飛躍が期待されると話しています。
思っていた以上に大きくなっていて草も生えない……。
国境を越えて広がるVTuber文化
この記事では、国境を越えて広がるVTuber人気の実情を調べました。
今回の調査で、VTuber文化が海外それぞれの文化圏で多様に受け入れられ、成長していることがわかりました。
海外でのVTuberの影響力の増加が、今後のVTuber業界の未来と発展においてどのように影響してくるのか。今後も注目していきましょう。
参考：
1. The Rise of VTubers: An Overview of the Surging Popularity of “Virtual YouTubers” – The Science Survey
2. Who Was The Most Popular Vtuber in The First Quarter of 2023? | Streams Charts
3. Dexerto’s Best VTubers of 2022: Top streamers, best moments in VTubing - Dexerto
4. The Rise of the VTuber
5. Inside The World Of VTubers – Alts.co
6. 日本発Vチューバー「Vox Akuma」、中国のライブ配信で投げ銭2000万円。運営会社は来月東証に上場 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア
7. VShojo raises $11 million in investment round to grow the VTuber community
8. Vtuber (Virtual YouTuber) Market 2023 Growth, Trend, Share, and Forecast till 2030 | 113 Pages Report
9. Vtuber Growth Is Up 1600% In The Past 3 Years, Says Report - GamerBraves
10. Global Vtuber (Virtual YouTuber) Market Research Report 2022
11. VTUBER (VIRTUAL YOUTUBER) Market Size, Forecast, 2031
12. Japan: VTuber market size 2023 | Statista